どんな商品?
エポック社が1985年に発売した人形玩具シリーズ。動物モチーフの人形と、細部までこだわった家・家具が特徴です。
発売当時あなたは何歳?
野球盤メーカーが女児向け市場へ進出した理由
日経クロストレンドの記事によれば、エポック社はそれまで野球盤など男児向け玩具を主力としていましたが、当時のファミコンブームの影響で既存商品の売れ行きが下降線をたどったことから、女児向け分野への進出を模索していたといいます。その中で着目したのが、欧州のドールハウス文化でした。日本にはひな人形のような精密なミニチュアを楽しむ文化がありながら、ドールハウスのような玩具の先例はほぼなかったといい、そこに商機を見出したことになります。
こうして1985年3月に発売されたのが、動物の人形と家具を組み合わせた「シルバニアファミリー」です。野球盤で知られた会社が、まったく畑違いの女児向け玩具に乗り出したこと自体、当時としては思い切った方向転換だったといえるでしょう。
動物の人形と精巧な家具というコンセプト
商品化にあたっては、動物をモチーフにした人形と、精巧な家具をセットにするというコンセプトが採用されました。日経クロストレンドの記事によれば、どの国の子どもからも親しまれやすいようにと普遍性が重視され、当初はウサギやクマなど9種類の森の動物が用意されました。人形の質感を高めるためには、当時最新のフロッキー加工の技術が使われたといいます。既製品を完成された世界として眺めるだけでなく、家具を選んだり配置を変えたりしながら遊べる自由度の高さも、この商品ならではの魅力でした。
ファミコンブームの中でのヒット
発売直後の反応は大きく、日経クロストレンドの記事によれば半年で約400万個が出荷されたといい、当時の報道では「ファミコンと人気を二分」とまで評されたといいます。ファミコンブームを背景に女児向け市場へ進出したエポック社の玩具が、そのブームのまっただ中でヒット商品になったというのは、なんとも皮肉のきいた話です。
「赤い屋根の大きなお家」という転機と、その後の展開
発売から10年後の1995年、シルバニアファミリーには大きな転機が訪れます。それまで平面的な作りだった「お家」を立体構造に変更した「赤い屋根の大きなお家」が発売され、100万個を売り上げるヒットとなりました。日経クロストレンドの記事によれば、これによりブランドは低迷期を脱したとされています。壁の中を覗き込めるように部屋が立体的に組まれたことで、遊びながら「この家に暮らしている」という感覚がぐっと強まったのかもしれません。
シルバニアファミリーは日本で生まれたブランドですが、1986年から海外での販売が始まりました。エポック社公式の発表によれば、その後も販売国・地域は拡大を続け、2004年に30の国・地域、2014年に50の国・地域、2017年に70の国・地域、2024年には80の国・地域を突破しています。発売から40年以上が経った現在も、人形の累計生産数は約3億体にのぼり、3DCGアニメーションのシリーズ化や、2023年のシリーズ初となる映画公開など、玩具の枠を超えた展開も進められています。

