蓄音機とSPレコードのある暮らし、ラッパから音楽が聞こえた時代

公開日:2026年9月7日

大正末から昭和初期の日本の家庭で、蓄音機を囲んで音楽を聴く家族のイメージ画像です。

※AIによるイメージ画像です

ラッパの形をしたスピーカーに針を落とすと、レコードから音楽が流れ出す「蓄音機(ちくおんき)」。

電気を使わずに音楽を再生していたこの道具と、そこで使われていた「SPレコード」が、家庭で音楽を楽しむという体験の原点でした。

蓄音機とは?ラッパとゼンマイで音楽を再生する仕組み

蓄音機は、円盤状のレコードに刻まれた溝を針でなぞり、その振動をラッパ状のホーンで増幅して音楽を再生する装置です。電気を使わず、ゼンマイを手で巻いてその力で盤を回転させる機種も多くありました。

レコードの溝は硬い針でなぞられるため摩耗しやすく、盤面を傷めないよう針を頻繁に交換しながら使う必要があったとされています。

電気による増幅を使わない分、音質は決して繊細とは言えませんでしたが、家庭で音楽を聴くための最初期の装置として広まりました。ジャパンサーチ(国立国会図書館が運営する文化財統合検索)にも、当時の蓄音機や関連資料が数多く収蔵されています。

出典:ジャパンサーチ(国立国会図書館運営、文化財統合検索)/Always Listening by Audio-Technica「蓄音機の歴史と仕組み〜オーディオライターのレコード講座〜」

エジソンの発明から、日本での国産化まで

蓄音機は、明治10年(1877年)にアメリカのエジソンによって発明されたのち、その約20年後に日本へ輸入されました。

川崎市の資料によれば、米国からの輸入商だったF・W・ホーン氏が国産の円盤レコードと蓄音器の製造を目指して「日米蓄音機製造」を設立し、明治43年(1910年)4月、川崎工場で国産第1号となる蓄音器「ニッポノホン」が発売されました。

当時の平均月収が35円ほどだった時代に、ニッポノホンは機種によって25円から50円という価格で販売されており、庶民にとっては決して安い買い物ではない、憧れの品だったことがうかがえます。

出典:川崎市公式サイト「国産第1号蓄音器『ニッポノホン』」

SPレコードという規格

蓄音機で再生されていたのが「SPレコード」です。1948年に、より長時間収録できる「LPレコード(Long Playing)」が登場した際、それ以前からあったレコードを区別するため、あらためて「Standard Playing」の略としてSPと呼ぶようになったとされています。

直径は約25cm(10インチ)と約30cm(12インチ)の2種類があり、1分間に78回転、片面の収録時間は30cm盤で5分弱程度と、今のレコードに比べてかなり短いものでした。

盤の材料には天然樹脂のシェラックが使われ、太い音溝を鉄製の針でなぞることで、電気を使わなくても音を鳴らすことができました。

その分、盤も針もすり減りやすく、蓄音機を長く使うには、こまめな針の交換とレコードの丁寧な扱いが欠かせなかったとされています。

出典:Always Listening by Audio-Technica「レコードの種類と違い〜オーディオライターのレコード講座〜」

SPレコード盤を手に取り選んでいる場面のイメージ画像です。
※当時の雰囲気をもとにAIで作成したイメージ画像です

家庭で音楽を楽しむという体験のはじまり

蓄音機とSPレコードが広まる以前、音楽は演奏会など「その場に居合わせないと聴けないもの」でした。蓄音機の登場によって、家庭にいながら好きなときに音楽を聴くことができるようになり、音楽との付き合い方が大きく変わったとされています。ゼンマイを巻き、盤を選び、針を落とす。一枚のSPレコードで聴けるのは片面5分弱と短く、曲の途中で盤を裏返したり、次の一枚に交換したりする手間もありましたが、その一手間ごしらえも含めて、家族が居間に集まり、蓄音機を囲んで音楽に耳を傾ける、そんな時間が生まれました。

出典:Always Listening by Audio-Technica「蓄音機の歴史と仕組み〜オーディオライターのレコード講座〜」/Always Listening by Audio-Technica「レコードの種類と違い〜オーディオライターのレコード講座〜」

次の世代のメディアへ

1948年のLPレコード登場をきっかけに、片面5分弱だったSPレコードは、より長時間・高音質なLPレコードへと少しずつ置き換わっていきました。さらに時代が進むと、音楽メディアは電気式のレコードプレーヤーやラジオ、カセットテープ、CDへと移り変わっていきます。ラッパから音楽が聞こえてきた蓄音機とSPレコードの時代は、こうした音楽メディアの移り変わりの、いちばん最初にあたります。

出典:Always Listening by Audio-Technica「レコードの種類と違い〜オーディオライターのレコード講座〜」

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その後の音楽メディアの変遷はカセットテープの記憶やソノシートの記憶でもたどれます。

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出典・注意事項

本ページは、ジャパンサーチ(国立国会図書館運営)、Always Listening by Audio-Technica(オーディオテクニカ公式コラム)、川崎市公式サイトをもとに構成しています。個別の情報については、各見出しに出典を明記しています。

ページ内のイメージ画像はAIによるものであり、特定の人物・場所・年代を再現した実際の写真ではありません。